土づくりに始まるりんご栽培ですが、ゴールド農園が最も大切にしている、もうひとつのことが葉っぱづくりです。春、りんごの木にはそれこそ数え切れないほどの葉っぱが繁ります。お日様の光りをいっぱいに浴びる葉っぱこそが、りんごの果実に栄養を送り、じっくりと時間をかけて大きくふくよかに果実を育ててくれる役目をします。そのため、美味しいりんごを育てるためには、葉っぱがいかに健康でいられるかがとても重要なのです。 自然(野生)の状態では、当然のことですが葉っぱにはたくさんの病害虫がとりつき、あっという間に葉をダメにしてしまいます。また、収穫前で果実にまだ栄養が必要な時期にもかかわらず、紅葉を待たずに葉を落とし始めるりんごの木もあります。こうした状況に陥らないような元気な葉を作ることが私たち生産者の腕の見せ所です。 では、葉っぱの健康を保つために何を行うかですが、その基本は「土作り」と「防除」にあります。「防除」とはわかりやすく言うと、病気が出てしまう前に、あるいは害虫が大発生してしまう前に対策を施すという考えで、予防と言い換えるこもできます。人に置き換えてみるとわかりやすいのですが、風邪の治療で重要になってくるのは初期症状への対処です。できるだけ早い時期に治療ができれば風邪をこじらすこともなく、早い回復が見込めます。そしてさらに重要なのが、うがいや手洗い、体調維持といった日々の予防です。予防がしっかり出来ていれば、風邪をひく可能性そのものが低くなります。 りんご栽培でも同じことが言えます。害虫や病気が出てしまってから農薬を散布しても時すでに遅しといった場合がよくあります。しかし、悪い兆候が出る前に何らかの対策を施しておけば、たとえ農薬を散布するにしても最小限で済みます。これが「防除」という考え方です。 防除を的確に行うためには、りんご栽培の長い経験はもちろん、土、病害虫、天候など様々な分野における科学的知識も必要です。しかし、これらの知識は書物からのみ得られるものではありません。毎日欠かさず、りんごの木を見つめ、葉っぱ一枚一枚の状態を常にチェックし、雲の動きを見張り、風の音に耳を傾けるという、りんごへの限りない愛情が豊富な知識を与えてくれるのです。「百姓」とは百の名字を持つと書きますが、私たち生産者は、まさに森羅万象の中から数え切れない自然の摂理を学び、あらゆる分野の専門家となって、りんご栽培を行っています。 |